PROGRAM NOTE 3-2

第3部の4曲目は、ジュゼッペ・ヴェルディ(ロマン派 1813年〜1901年 87歳没)のオペラ「ドン・カルロ(ドン・カルロス)」からとなります。

オペラ「ドン・カルロ」は、1865〜66年にかけてヴェルディが作曲した作品です。

原作は、ドイツ人の劇作家・思想家であるフリードリヒ・フォン・シラーの戯曲「スペイン王子ドン・カルロス」といわれています。スペイン国王フェリペ2世の嫡子ドン・カルロス(1545―68)の早死をめぐる史話をもとにして書かれたものといわれています。

オペラ「ドン・カルロ」の台本は、上記原作に台本作家のフランソワ・ジョゼフ・メリとカミーユ・デュ・ロクルが加筆しフランス語で執筆され、1967年3月にパリ・オペラ座でグランド・オペラとして初演されました。

この初演となるグランド・オペラは、フランス語タイトル「ドン・カルロス」として全5幕構成として、バレエも盛り込まれた大作です。これは当時オペラ座の主な聴衆であったブルジョワ層、即ち市民革命を推進した中産階級・市民階級に好まれたものといわれています。(ブルジョワ層は、貴族や農民と区別されます。)

その後、1884年ミラノ・スカラ座で上演される際に大幅な改定が行われ、イタリア語による4幕構成となり、タイトルもイタリア語の「ドン・カルロ」となりました。
現在、上演されているオペラはイタリア語版が主流となっていますが、フランス語の4幕・5幕構成、イタリア語の4幕・5幕構成など様々なバージョンがあります。
本日は、イタリア語版の5幕構成からとなります。

主な登場人物は、5人となります。(1) スペイン国王であるフィリッポ2世(フランス語:フィリップ2世/実在したスペイン国王フェリペ2世をモデルとしている)、(2) その王子であるドン・カルロ(同:ドン・カルロス)、(3) 元フランス王女でフィリッポ2世の王妃となるエリザベッタ(同:エリザベート)がおり、3者の恋愛関係を中心に展開されます。
加えて、(4) カルロの唯一の理解者であり親友であるロドリーゴ(同:ロドリーグ)や、(5) 密かにカルロを慕うエリザベッタの女官のエボリ公女(同名)などが登場します。
このオペラの本質的な背景は、キリスト教宗教界における旧教と新教の対立や、宗教権力に従わざるを得ない政治権力という対立を含め、壮大な社会的テーマを題材に描かれています。

 

物語は、16世紀にフランスの地で、ドン・カルロとエリザベッタが運命的な出会いをしますが、当時のフランスとスペインにおける政治的な背景から、エリザベッタは、カルロの父であるスペイン国王フィリッポ2世の王妃となることからはじまります。
その後、カルロはエリザベッタに愛情を持ち続けていることに苦しみ、その思いを伝えようとします。しかし、エリザベッタはカルロの愛情を受け止めながら、二人が結ばれることは拒絶します。

一方、国王フィリッポ2世は、政略結婚で嫁いできたエリザベッタが心を開いてくれないことに悩み、更に王子カルロと王妃エリザベッタの仲を怪しむようになっていきます。

また、カルロは、スペインから虐げられ続けるフランドル(フランス・オランダ・ベルギーにまたがる地域)の新教徒たちを救うことに、強い決意を持っていました。

しかし、スペイン国内では、宗教裁判所によって有罪とされた新教徒が火炙りの刑に課され、国王は処刑実行の宣告をせざるを得ない状況となります。
カルロは国王に、この新教徒たちを解放するように直訴しますが、国王はカルロの介入を叱りつけ処刑を宣告します。
そこで、カルロは剣を抜いてまでフランドル救済を訴えますが、親友のロドリーゴはカルロの命に関わると考え仲裁に入り、カルロはロドリーゴに剣を渡し拘束され、その場は収まります。

そのあと、国王フィリッポ2世は、王妃エリザベッタに一度も愛されたことがなく、息子である王子カルロにも裏切られたという思いにさいなまれ、また宗教権力の強い圧力の中で政治を行なっている自らの立場も含め、生きることの苦悩を吐露します。(この場面が「ひとり寂しく眠ろう」です。)

以降、国王は宗教裁判長から更に苦しめられ、カルロは牢に入れられたままとなります。そのカルロに、ロドリーゴは会いに行きますが、宗教権力によりロドリーゴは殺されてしまいます。
最終的には、カルロは先帝カール5世(カルロの祖父)の亡霊によって墓に引き込まれていかれ、修道僧たちの静かな合唱が響き、幕が下ります。

 

※ 演目の詳細説明は、以下のリンクにございます。